「Sex And The City」~ウェディングドレスとエンゲージリング Part2 |
PR会社社長のサマンサがどうしても欲しかったセレブリティの指輪をオークションで競り落とそうとして失敗するシーン。
実はサマンサが欲しかったそのリングは、恋人のスミスが彼女に贈るために競り落としてプレゼントするのです。
彼女がそれについて彼であるスミスにこう話します。
「私は欲しいものは、何でも自分で手に入れる主義」。
彼女は、愛する恋人からジュエリー、その中でも特別な意味を持つリングをプレゼントされても素直に喜べなかったのです。
その台詞は、ステイタスもお金も自分の才覚と努力で手に入れてきた、このサマンサという女性の生き方を端的に表していますね。
【変化するエンゲージリングの意味】
キャリーが結婚に踏み切る過程でも似たシーンがありました。
キャリーが、恋人のミスター・ビッグから婚約指輪のダイヤモンドリングの申し入れを断るシーン。
愛情を表現する、結婚を約束するしるしとして贈られてきたエンゲージリング。
それを拒否するというこのシーン。
NYという大都会で逞しく生き抜いてきたキャリーというひとりの女性のプライドを感じさせるという意味で、実に興味深いですね。
ここで少し、エンゲージリングの歴史・意味合いについて書いてみたいと思います。
●エンゲージリングの歴史・意味合い
婚約の際に指輪が贈られたのは、紀元前から紀元後にかけての古代ローマ帝国時代と言われています。
この時代、結婚式は家族や村の公的な儀式であり、結婚とは本人同士の愛の誓いではなく“家同士の契約”だったのです。
当時は、鉄の指輪が用いられていました。
強さを象徴する「鉄」は信頼の結びつきを表すのにふさわしいと考えられていたからです。
2世紀になると、「ゴールド」のリングが普及し、その後、男性が自分のイニシャルをリングに刻んで贈るしきたりも生まれました。
860年頃、当時の教皇だったニコライ1世が、「婚約発表にはエンゲージリングが必要である」という命令を出しました。
「夫となるものは、高価で経済的な犠牲を払うようなリングを贈らなければならない」という考えが根底にあったからです。
多少無理をしてでも、高価なエンゲージリングを婚約者に贈る伝統はこうして始まりました。
エンゲージリングに「ダイヤモンド」が選ばれたのは1477年。後にローマ帝国皇帝となるマキシミリアン公がブルゴーニュ公女マリーに贈ったのが始まりだとされています。
その背景には、1456年にオランダ人、ベルケムがダイヤモンドの研磨に成功したということが大いに影響しています。
その後、19世紀には白いウェディングドレスの普及とともにプラチナとダイヤモンドリングがエンゲージリングとして広がります。
白さを保ち続けるプラチナは永遠の純潔の象徴と考えられたからです。
大人の結婚。
それは、
お互いの生き方を尊重して自由を奪わないこと。
二人の生活を大切にしていくこと。
そして自分も常に好きでいること。
そこには、相手を束縛してしまうようなエンゲージリングは必要ないのかもしれませんね。
Ken
写真:「SEX AND THE CITY」(ランダムハウス講談社)より掲載
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宝石、ジュエリー
世界史(世界歴史)
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