香港の現在・過去・未来Part5~英語を話さない香港の若者たち~ |
<中国返還後の変化、英語>
今回、香港を旅して気付いたことは、思ったほど英語が巷で通じなかったことです。
その理由の一つには、香港が中国に返還されて13年。
昨今の若者は英語を話さなくなったことが挙げられます。
現地に赴任している同じ会社の人に聞きました。
イギリスによる統治が終了し、公用語として英語は一応認識されているものの、中国に返還されたことで熱心に英語を教育しなくなったのではないかと推測します。
今も英語を流暢に話すのはイギリス統治下時代を経験している年配者で、今の若者は英語が出来なくなってきていると言うのです。
しかも、今や中国本土から沢山の観光客がやってお金を使い、沢山消費していきますので、英語よりは中国語(広東語・北京語)を話させた方が商売上もメリットがあるということなのだと思います。
<中国本土からの観光客>
5年前に香港を訪れて約5年。
以前にもまして、今回は中国本土からの観光客が多いと感じました。
夏休みだったということもあったかも知れません。
免税店のお客様の大半は、中国人。
両手で抱えきれないくらいのブランド品を持ってレジに並んでいました。
20年前くらい、日本人がパリなどに行って、ブランド品を買い漁っていたバブル期とオーバーラップしました。
それに呼応するかのように狭い香港には沢山のブランドショップが入居する立派な商業施設が出来ていたことも驚きでした。
<ブランドショップがずらり入居するIFCモール>
<九龍駅に出来た商業施設エレメンツのディスプレイ>
どこも中国人観光客で賑わっていたのが印象的でした。
彼らはどこに行っても消費力旺盛で、消費が伸び悩んでいる日本とはまさに対照的。
<中国本土に依存する香港経済>
中国に返還されてからのこの13年間。
香港経済の発展は、まさに中国への依存にシフトさせて得たものではないでしょうか。
今や香港は、昔以上に中国本土の力なしでは生きていけません。
観光客による消費
食料・水などのライフラインの供給
中国本土からの労働力の供給
人民解放軍による治安維持
<22時を過ぎても中国人観光客で賑わいの衰えない女人街>
一方でイギリス離れは、国際公用語である英語を話さない多くの若者を作り出しました。
タクシードライバーがいい例でしょう。中国本土から来たドライバーには当然ながら英語が通じません。
言葉が通じないことで、下車を余儀なくされたこともありました。
<香港の街を走るタクシー>
<危惧される香港の将来>
私が心配していることは、このまま中国一国への依存体質を強めていった場合、皮肉にも将来香港が国際社会から取り残されてしまうのではないかということです。
今はまだ中国の国力が伸びているからそれでも大丈夫ですが、これから中国の消費が止まった時、または中国が国際社会で孤立した時等、気が付けば香港も連鎖して、国際社会から取り残される可能性も出てくるのではないでしょうか。
そんなことがふと頭をよぎりました。
英語を話さない若者の増加
中国一国への依存
この状態が長く続くようならば、100年以上培った国際都市としての香港の存在意義は薄れる可能性が高いのではないでしょうか。
単なる中国の一地方都市から、やがて衰退
事実、現在は、香港ドルよりも人民元が高いという現実があります。
人民元がジリジリと値を上げており、人民元が香港ドルより益々強くなっているのです。
<強くなる人民元の紙幣>
現在のところ、中国経済の成長は留まるところを知りませんからこれからも人民元は上昇し続けるでしょう。一方で相対的に香港ドルは目減りしていきます。
今までは、香港が経済的には格段に上を行っているという評価でした。
もちろん現時点では、中国大陸全体の経済と、香港全体の経済では香港の方が上ですが、香港の中流以上の人と上海・北京の中流の人の比較では、上海・北京の方が上のこともあるそうです。
実際に香港から上海・北京に商機を見出し、人・もの・金の流出が始まった場合、香港の凋落が一気に加速するのではないでしょうか?
中国依存体質を強めていくと、皮肉にも中国本土の経済に飲み込まれて衰退するというジレンマを多分に含んでいるのではないでしょうか?
5年ぶりの香港で私は、過去の150年、そして現在、これから訪れる未来の50年を感じた
のでした。
Ken
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