グローバル…雑感 |
【LINEの爆発的伝播力と拒絶反応】
意欲・興味・精神活動の低下、焦燥、食欲低下、不眠などを特徴とする精神疾患を俗にうつ病と言いますが、現代はまさにストレス社会で、引きこもりなど精神を病んでいる人がたくさんいますね。
<Wikipedia:ヴィンセント・ファン・ゴッホ/「悲しむ老人」/1890年>
そういった方々は休むことで復帰される場合もありますし、まだ復帰途上の方もいます。
私自身もストレスを抱えて仕事をしていて、いつ心が病んでも不思議ではないなと、とてもこの問題を他人事とは思えません。
日本ではストレスが多くて、さぞや患っている方も多いのではないかと思っていましたが、調べてみるとまだ割合としては低いということが下記のマップからも分かります。
<Wikipedia:2004年の100,000人あたりの単極性うつ病の障害調整生命年>
パリ在住の知り合いに、精神疾患者のフランス社会への受け入れ方について、話を伺う機会がありました。
私は、個人主義があれほど強いフランスという国において、一度精神疾患になると、社会から疎外されて、社会に馴染めず、失意のうちに自殺などが多発しているのではないかと思っていました。
しかしながら、答えは意外なものでした。
精神疾患患者が多いのは事実。
むしろ多すぎていちいち特別なことだという認識は薄い。
そういう人たちがいる社会は当たり前であり、それぞれの社会で受け入れて、共存しているとのこと。
障害があってもあくまで一人の人間として、その尊厳・人権は守られているのでした。
一方日本では、どうしても人とは違うということで受け入れられないまま仲間外れになってしまうケースが多いのではないでしょうか。
あれほどの個人主義がまかり通っているフランスにおいて、人権を重んじる気質を感じるとともに、社会に受け入れるのが難しい日本との差を感じたのでした。
【物価高とクォリティ国家スイス】
昨年発刊された大前研一著「日本の論点」で、日本の目指すべき国家の一つとして、スイスが挙げられています。
一人あたりのGDPが高い日本が、スケールやボリュームでアメリカや中国などの大国と張り合っても仕方ない。
今、世界で隆盛を極めているのは、スイス、デンマーク、フィンランド、ノルウェー、アイルランド、シンガポールなど、人口が約500万~1000万人の小国家。
これらの国々は、政治のクォリティも教育のクォリティも、クォリティオブライフ(人々の生活の質)も、あらゆる面でクォリティが高い「クォリティ国家」である。
その中で、スイスという国を挙げています。
スイスは、人口が約800万人程度。
国民一人当たりのGDPは、世界トップクラス。
国内市場は小さいが、船舶用エンジンで世界最大手のスルザー、重電のABB、食品のネスレ、人材派遣のアデコ、製薬のノバルティスやロッシ、クレディ・スイス、UBSなどの銀行とトップクラスの世界企業が揃っている。
<Wikipedia:スイスの国旗>
スイスの人件費は高いし、為替も日本円と同じくスイスフラン高。
しかし、それで文句を言うスイス人はいない。
為替で一喜一憂するのは三流国で、クォリティ国家はコスト高を言い訳にしない、高くても売れる競争力ある商品やサービスを提供しているからだ。
そのようなことが書かれています。
私が実際に経験したことを少し書いてみましょう。
スイスという国の仕組み、国自体がスイスをクォリティ国家足らしめていると感じたことがあります。
スイス以外の企業が、子会社をスイスに作ったり、業務を委託してスイスの企業に発注などを行う場合は、スイスで事業登録をして、デポジットとして多額のお金をスイスに預託しなければなりません。
それは、きちんと代金などが支払われない場合には、その預託金から支払われるためであり、スイスの企業を保護するためでもあります。
また、仮にスイスで事業を行う場合、イタリアなど近隣の人件費の安い国に業務を委託してコストダウンを図ろうとしても、スイス国内で働く場合には、きちんとスイスの決められた人件費を払わなくてはならない、という取り決めがあるのです。
かつて、大学の卒業旅行で、食べたマクドナルドのハンバーガーセットが、当時1,200円だったこと。7年前に仕事で訪れたチューリッヒの街で、みそラーメン食べた時、1杯3,300円だったことが驚きであり、不思議でしたが、それは取りも直さず、人件費の高さからきていることが社会人になって分かりました。
<Wikipedia:チューリッヒはスイス経済の中枢であり、欧州屈指の金融センター>
驚くほどの人件費高からくる物価高ではありながらも、国際的に見ても競争力が落ちてこない、クォリティ国家であり続けるスイスという国としての知恵、社会の仕組みには一目置かざるを得ないと思いました。
さて、昨年体験したり、聞いたりした、いくつかの象徴的な海外での出来事を書いてみました。今年ももっと多くの海外ならではの体験をしてみたいと思います。
では今年もよろしくお願いいたします。
Ken