東京オリンピックと水晶 |
今日は、オリンピックにまつわるジュエリーの話をしましょう。
時を正確に刻む時計に宝石が使われていたことについてです。
石英(Quartz)は、地球を取り巻く地殻を構成している主要造岩鉱物の第一に取り上げられ、地球上で極めてありふれた鉱物です。そのうち、透明な石のことを水晶(Rock crystal)と呼んできました。
<Wikipedia;石英の結晶>
今も昔も、オリンピックにおいて正確に時間を計ることは、競技の判定などには、極めて重要なことです。
日本のセイコーは、早くからクォーツ時計に着目して研究を進め、遡ること50年前、1964年(昭和39年)の東京オリンピックにおいて、壁掛け時計並のサイズ(縦20cm×横16cm×厚さ7cm、運搬用ケースを含めた総重量 3kg)に小型化したクォーツ時計を大会公式時計として提供したのです。
水晶には、圧力が加わると電気が発生する「圧電体」になるという特性があり、交流電圧をかけると一定の周期で規則的に振動するのです。
水晶片で出来た水晶振動体を保持器に収めた電子部品「水晶振動子」の働きを利用し、その原理は、正確に時を刻む時計に応用されたのでした。
<Wikipedia:小型 4MHz水晶振動子>
一般的なクォーツ時計の誤差は、1か月で15-30秒程度、性能の良いものでは、1年で数秒程度と言われ、従前からの振り子時計より格段に精度が増したのでした。
余談ですが、1970年代にセイコーが特許を公開したことで、各メーカーがクォーツ時計の製造に参入し、市場を席巻しました。この時期クォーツ時計の低価格化が進み、欧米の時計メーカーはそれまでの機械式時計が売れなくなり、経営の上で大打撃を被るのでした。
「透明な氷」を意味するギリシャ語のKrystallosに由来する「水晶=Rock crystal」。
遠くオリンポスの山の奥深く、岩穴の中で発見されたこの結晶を、当時の人々は、氷の精と考えたのでしょう。
そんな美しい結晶形の水晶が、実は精密機械の分野でも活用されているというのは面白いですね。
Ken
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宝石、ジュエリー世界史(世界歴史)
芸術家、アーティスト(芸術)
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