アメリカ人にとってのジュエリーとは |
ジュエリーについての様々なことを書き続けていますが、せっかく訪れたNY。
「アメリカ人にとってのジュエリー」について、その本質について書いてみたいと思います。
ジュエリーの持っている意味合い、バックグランドには、どのようなものがあるのでしょうか?
宗教的な意味、
権力の証、
富の象徴、
自己実現の証、
身を飾る装飾品としての役目
など様々です。
アメリカ、特にNYに来て強烈に思うのは、2つの意味合いです。
一つには、「富の象徴」として、そしてもう一つは、「ヘリテージ」としてのジュエリー。
一つ目は、歴史の浅い、成り上がり国家としての側面が影響しています。
産業革命の余波を受け、ヨーロッパの戦争や革命による疲弊を横目で見ながら、特に第一次大戦後、急速にお金持ちになったアメリカは久しく世界の盟主を自認し、お金に物を言わせて高級ジュエリーや大粒のダイヤモンドなどを買い漁りました。まさにジュエリーは「富の象徴」という側面です。
<NY5番街のハリーウィンストンのショーウィンドウ>
一方、アメリカを特徴づけている、面白い側面は、「ヘリテージ」としてのジュエリー。
「ヘリテージ」とは、先祖代々、受け継いでいる遺産、世襲の財産の意。
これは、やはり移民国家としてのアメリカならではの特徴と言えるでしょう。
アメリカに移住して4世代目でありアメリカ人(の顔をして)として生活していても自分の祖先のルーツはいつまでも大切にしています。
<移民によって成立しているアメリカ>
私はメキシコからの移民、私はひいお婆ちゃんが苦労して海を渡ってきたロシアからの移民。そんな人達の集合体が、今のアメリカ国家を形成しています。それが、アメリカなのです。
でも、そんな人達が大事にしているのが、そのひいお婆ちゃんから受け継いだジュエリー。
それは、自分自身が、自分のルーツを自覚するために大切にしている、いわば、「ヘリテージ」としてのジュエリーなのです。
これは、ヨーロッパなどに代表される、王侯貴族が支配していた国家による、「クラス社会への帰属意識を証明する」ジュエリーとは、違って、それらは、自分のルーツを確認するための意味合いなのだと思います。
トランプ大統領も妻のメラニアさんももとはアメリカ以外の外国にルーツを持つ移民の家系です。
<NY5番街にあるトランプタワー>
トランプ氏の父親はアメリカ人、母親はスコットランド人。もっとたどれば、トランプ氏の父系の祖父、祖母とも共にドイツ西部の出身です。そして、現在の奥さんのメラニアさんは、ユーゴスラビアの出身です。
お互いきっと大事にしている先祖代々からのヘリテージとしてのジュエリーを持っていることでしょう。
Ken